【矯正歯科医師と補綴歯科医師が解説】セラミックや銀歯があっても矯正できる?かぶせ物がある歯列矯正の注意点と対策(実際の治療例あり)
「セラミック歯があるけど矯正できるの?」「銀歯があるとマウスピース矯正は難しい?」
このような疑問をお持ちの方へ、歯列矯正とセラミック・銀歯の関係を実際の治療例を説明しながら、わかりやすく解説します。
目次
セラミックや銀歯がある歯でも矯正は可能!
矯正治療における「かぶせ物の問題点」とは?
- ブラケットやマウスピース用アタッチメントが接着しづらい
- 外れやすく壊れやすいため、治療が遅れる
一般的な対策とそのデメリット
仮歯に置き換えて矯正する方法
かぶせ物がある場合、一時的にプラスチック製の仮歯に交換して矯正するのが一般的です。
仮歯にする際の注意点
- 清掃性が悪く、歯周病になる可能性がある(銀歯よりもかなり汚れがとれにくくなります)
- 仮歯は割れやすく、頻繁に修理が必要
- 矯正歯科と一般歯科を行き来する必要があり、通院の手間が増える
【当院の対策】かぶせ物を活かした効率的な矯正治療
当院では、銀歯やセラミックを外さず、矯正装置を付ける部分だけくり抜く方法を採用しています。
この方法のメリット
- 壊れにくく歯磨きしやすい
- 通院回数や治療期間の負担を軽減
矯正後はかぶせ物の作り直しが必要になる場合も
矯正後の補綴治療のポイント
矯正によって噛み合わせが変わると、かぶせ物も新しく作り直す必要があります。
歯科と矯正の連携がカギ
- 形や素材の選択には歯科医師間の連携が必要
- 一体型の歯科+矯正歯科クリニックならスムーズに対応可能
- 費用も一括で抑えやすい
【注意】過去にセラミック矯正を受けた前歯には落とし穴も
- 前歯をセラミックにするついでに悪い歯並びも治してもらう、いわゆるセラミック矯正を受けた前歯で改めて矯正治療を受ける場合、
注意が必要です。
よくあるトラブル
- セラミックの歯だけが内向きになり歯ぐきが目立つ
- 人中が長く見えて顔のバランスが崩れる
- 歯根が整っておらず、歯周病のリスクが高くなる

口元が出ている状態

セラミックでの治療だと歯ぐきが目立ってしまう
理想の治療法:CTで歯の根までチェック&再設計
当院ではCTレントゲンを用い、歯の根の向きを確認しながら治療計画を立てます。
- 一時的に仮歯で元の形に戻す
- 正しい位置に矯正
- 自然で美しいセラミックに再作成
実際の治療例
KAさん(29歳 女性 会社員)は口元の出っ張りを気にされて相談に来られました。(症例の解説に関してはプライバシー保護を考慮して写真の一部を隠しています。また掲載について患者の了解を得ています)

治療前の口腔内写真

治療前の口腔内写真
相談時のと口腔内写真です。15年前に前医でセラミックを入れましたが口元の突出感は改善していません。
診断名・治療計画
診断名
上顎ほぼ全ての歯に補綴された上顎前突アングル2級症例
治療計画
①上の前歯の突出を改善するため、上の前から4番目にはえている第一小臼歯と呼ばれる奥歯を両側で2本抜歯
②上下歯列にマルチブラケット装置(いわゆる表側ワイヤー)を使用して全体矯正をおこなう。

治療途中写真 白いセラミックブラケットを使用
③上の歯列から顎間ゴムを併用することで下の歯列は歯を抜かずに配列する。
④適正な位置に歯を移動させてからセラミックにて再補綴を行う。
治療結果

矯正治療終了後

セラミック治療後
矯正治療によって上の歯が引っ込み上下のかみ合わせが良くなりました。その後仮歯にセラミック治療を行い、見た目が改善しました。

治療前写真 上の歯列

治療後写真 上の歯列
適切な嚙み合わせになったことでセラミックの形状も作りやすくなり、結果として良い嚙み合わせで審美的なかぶせ物にすることができました。

治療前写真

治療後写真
まとめ|かぶせ物がある方の矯正は「連携できる歯科」で安心
セラミックや銀歯が入っていても、正しい知識と治療法があれば矯正治療は可能です!
✅ かぶせ物があるけど矯正したい
✅ セラミック矯正後に歯並びを整えたい
✅ 前歯の歯ぐきや見た目が気になる
そんな方はぜひ、歯科と矯正歯科が連携したクリニックへご相談ください。
当院では、矯正歯科医師と補綴歯科医師が協力して一人ひとりに合った最適な治療をご提案します。
〈症例の概要〉
主訴:口元の突出感
患者データ: 29歳/女性/会社員
診断名: 上顎ほぼ全ての歯が補綴された上顎前突アングル2級症例
治療方法: 上顎両側第1小臼歯抜歯、マルチブラケット装置
治療期間(通院回数):2年6か月(35回)(セラミック治療含む)
治療費用:¥1,721,000(税込)(14本セラミック含む)
リスクと副作用:治療上のリスクとして歯根吸収、歯肉退縮、むし歯、歯肉炎、口腔粘膜の傷、歯の骨性癒着、補綴物の破損脱離、顎関節症があります。