時々患者さまから「マウスピース矯正なら、歯を抜かないでも治療できますか?」と質問をされることがあります。
誤解されることも多いのですが、「ワイヤー矯正なら歯を抜く」「マウスピース矯正なら歯を抜かない」ということはありません。
患者様の治療方針を決定するとき、ドクターは2つ検討することがあります。
1つ目は、「どのような歯並びになれば患者さまにとって審美的にも健康的にも1番良い状態だろうか」と検討します。検討した結果、最終的な治療のゴール地点が決まればゴールに向かうために歯を抜く必要があるかどうか決まってくるのです。この時、ワイヤー矯正とマウスピース矯正で歯を抜くかどうかは変わりません。
2つ目は、矯正器具の選択です。治療ゴールに到達するためにはどの種類の矯正器具が選択できるかを検討します。
例えば、歯の移動量が大きい場合にはマウスピース矯正では対応できないことがあるため、ワイヤー矯正or裏側矯正しか選べないということになります。もちろん3種類とも選択できる場合もあります。
もし、「ワイヤー矯正なら抜歯」「マウスピース矯正なら非抜歯」という診断をされたのであれば、それは”マウスピース矯正なら非抜歯で治療ができる”という意味ではなく、”目標の治療ゴールに到達するにはマウスピース矯正ではうまくいかない場合があるからゴール設定を変更して非抜歯で治療することになった”という意味になります。
非抜歯で矯正治療することは決して悪いことではありません。大切な歯を残すために治療ゴールの変更が必要な場合もあります。
特に、非抜歯だからマウスピース矯正を選ぶという考えには注意が必要です。”その治療ゴール設定が患者さま本人の納得できるものであるか”という点を第1に、担当医と相談してから矯正器具を選んでいただくのをオススメします。