当院では、”Face is First”という考え方に基づき、顔の審美性を考慮した矯正治療計画を採用しています。
「顔の審美性を考慮すると治療計画が変わるのか?」と疑問に思うかもしれませんが、実は矯正治療計画を立てるときには、どのような歯並びや咬みあわせが理想のゴールと最初から決まっているわけではありません。1人の患者様に対して複数の治療ゴールを検討します。
前歯の位置や角度・奥歯の咬み合わせなど様々な項目について検討し、いくつかの治療ゴール候補を設定します。その中から一番オススメの治療ゴールを選択して患者様に説明するのです。
では、ドクターは何を基準にして治療ゴールを選択するのでしょうか?治療ゴールが変わると、咬みあわせの改善・治療期間・歯を抜かないこと・必要な治療器具・後戻りへの安定性・顎関節への負担など様々な項目が変化します。
もちろんどれも大切なことですが、残念ながら全てを優先することはできません。そのため、ドクターは優先順位を決めて治療ゴールを選択する必要があるのです。
もちろん他の項目で健康を害することになってはいけませんのでバランスを考慮しながらにはなります。 顔の審美性を重視して治療ゴールを設定すると、細かい矯正治療計画が変わってきます。中でも1番わかりやすいのが、”矯正治療で歯を抜くか抜かないか”という選択肢です。
何軒かの歯科医院で相談した患者様から、「なぜ歯を抜くと説明する医院と抜かない医院に分かれるのか?」という質問をよく受けることがあります。これは矯正技術の差で歯を抜く抜かないが分かれるわけではありません。それぞれの医院が違った治療ゴールを選択した結果、歯を抜く抜かないの治療計画が変わったということです。
”健康な歯をできるだけ抜かないで矯正治療をする”というのは健康上大切なことです。しかし、歯を抜かない矯正にこだわるあまり、顔の審美性が改善されないことも多々あります。
例えば、横顔の審美性を評価するのにE-lineという指標を用います。「鼻と顎先を結んだ線より唇が出てしまうと審美性に問題がある」という評価基準です。E-lineが良い結果にするために歯を抜いて矯正する必要がある患者様は多くいらっしゃいます。
では、誰でも歯を抜いて矯正すれば審美的かというとそうでもありません。
E-lineは横顔を評価するには有効ですが、正面から見た顔の審美性については分かりません。歯を抜いて矯正治療したことで、「ほうれい線が目立つようになった」「頬がこけてしまった」と悩む方がたまにおられます。全員ではありませんが歯を抜いたことで正面からの顔の審美性が悪くなってしまう場合もあるのです。
どのような人が歯を抜くと正面からの顔の審美性が悪くなるのか…残念ながらその基準ははっきりしていません。しかし、顔が細い方や元々ほうれい線が目立つ方は歯を抜くと悪くなる傾向があります。
矯正治療による顔の審美性の変化については、大学病院や日本矯正歯科学会などの学術団体でもまだまだ調査段階で分かっていないことが多いです。当院では、以前より顔の審美性を重視した矯正治療を行っていたため過去の治療結果から多くのデータベースをまとめて治療計画の参考にしています。矯正治療で顔の審美性がどのように改善するか心配な患者様はお気軽にご相談ください。